Evertonの現有スカッド&補強ポイント
18-19シーズンもあっという間に終わり、今季も色んなことがありましたね!とつらつら書きたい所なのだが、既に国内の移籍市場は開かれているとか。
移籍を楽しむ為にEvertonの今の戦力を整理してみる。
チームの補強方針
現在Evertonの補強を決定する時は、監督のMarco Silva(画像左)とFootballDirectorのBrands(画像右)、今季から就任したこの二人の両方がGoサインを出さなければ選手を獲得することは出来ない仕組みになっている。
毎年どこかのクラブで起きる「フロントが勝手に獲ってきたけど、こんな選手俺は要らない!」というフロントは補強費をドブに捨て、監督はフロントと不仲になり、選手は干されてキャリアを棒に振るという全員が損をするケースを無くせる。
・今夏の移籍市場について
— 主夫@O.M.I.O.S (@husbandinHK) April 2, 2019
「我々が昨夏チームに連れてきた選手は全員25歳以下だった。我々は年齢の高い選手に投資したくない。求めるのは20〜25.6歳の選手だ」
「今季が始まった時から夏に向けて動いている。昨年末にはもう方針を決した。現在、すでに(夏に獲りたい)選手は決まっている」#EFC
とのこと。
30歳の選手の獲得ゴシップが流れても現在のEvertonの場合は信憑性がかなり薄いということを理解してもらいたい。
Evertonの戦い方・今季のフォーメーション
基本フォーメーション
基本フォーメーションは上記画像の通り4-2-3-1。殆どの試合でこのフォーメーションを使用していた。守備時はトップ下の選手がFWと並び4-4-2で守る。尚、最終的なレギュラーメンバーも画像の選手達である。
来季もこのフォーメーションをメインで使用するという前提で話を進める。
Silvaの戦術
Silvaは守備に重き置く監督で、前線の選手でもハードワークを求め、フィールドプレーヤー全員でブロックを構築し守るのが特徴。
ボランチのチョイスも前線まで顔を出すことの出来るDaviesよりもパスの選択がセーフティ過ぎる面もあるが、DFラインの前に残ってくれるSchneiderlinを選択する辺りからも守備第一の考えが窺える。
〈得意とするチーム〉
自信を持ってボール保持をするチーム。
〈苦手とするチーム〉
ボール保持を放棄しているチーム。守備を固めた相手を攻略するのが苦手。
各ポジションの現状について
これまでの出場試合数等からトップチームの扱いではない若手選手は省いています。
※青色は今季Evertonにレンタル移籍して来た選手
※()は今季他チームにレンタル移籍していた選手
ゴールキーパー
〜トップチームにGK2人とリスキーな編成。バックアップの補強はありそう〜
Jordan Pickford 40試合 レギュラー
Maarten Stekelenburg 2試合
加入した昨季に続きリーグ戦皆勤賞のPickford。イングランドの正守護神はチームでも能力の疑いは無く、絶対的な存在。
Stekelenburgはカラバオカップのみの出場で、昨季に続きベンチを温め続けた。
今季加入しU23チームでプレーしていたJoão Virgíniaが実質的な3番手で期待の若手という位置づけ。
2年間Pickford&Stekelenburg体制なので、Stekelenburgに明らかな衰えが無ければテコ入れが無い可能性もある。補強するとしても2番手。
センターバック
~Zoumaの買取交渉次第ではレギュラークラスの補強も~
Kurt Zouma 36試合2G2A レギュラー
Michael Keane 35試合1G2A レギュラー
Yerry Mina 15試合1G
Phil Jagielka 7試合1G
(Ashley Williams)
(Mason Holgate)
Keane&Zoumaが殆どの試合に出場。
Minaは負傷の影響もあり、シーズンの半分くりいしかベンチ入り出来ず。
JagielkaとWilliamsは今季で契約終了。契約延長の可能性は0では無いが、年齢、出場を考慮すると0に近いと思われる。
残りの4人でレギュラー争いをするのが望ましいが、チェルシー補強禁止の影響でZoumaの買取の難易度が上昇。買取に失敗した場合はレギュラークラスのCBを補強したい。
サイドバック
〜最も充実しているポジション、バックアッパーの獲得があるか~
Seamus Coleman 31試合1G1A レギュラー
Jonjoe Kenny 12試合1A
Lucas Digne 37試合4G5A レギュラー
Leighton Baines 8試合1A
(Cuco Martina)
(Brendan Galloway)
(Luke Garbutt)
右サイドバックに関しては補強の緊急性はかなり低い。今季多くの試合でゲームキャプテンを務めたColeman。そのColemanの不在時も代役を十二分にこなしたKenny。センターバックの欄で扱ったHolgateもこのポジションで起用可能と、人数も揃っている。Martinaは余程のことが無ければ出番が無く、放出候補。
左サイドバックは運動量が衰えてきたBainesの後継者問題が解決。シーズン最序盤と出場停止を除きDigneが攻守に渡りリーグベストイレブンクラスの活躍。Bainesは今季で契約満了、今後契約更新しないのであればバックアッパーの獲得が必要。Gallowayは来季バックアッパーを任されなければ、放出の可能性も。Garbuttは今までの扱いを見る限り放出濃厚。
セントラルミッドフィールダー(守備的ミッドフィールダー)
~レギュラー2人の去就は不透明。Davies以外は全員退団の可能性アリ~
Idrissa Gueye 35試合2A レギュラー
André Gomes 29試合1G2A レギュラー
Tom Davies 19試合1A
Morgan Schneiderlin 16試合1A
James McCarthy 1試合
(Muhamed Besic)
守備職人Gueye、ゲームメイカーGomes。どちらも不出場の場合はチーム力が大きく落ちる存在。
Gueyeは既に冬市場でPSGからのオファーがあったもののクラブが認めずに残留。更に金額を積まれた場合は放出も。
Gomesはバルセロナからの買取を目指しているが、今季の活躍でEvertonよりも格上のクラブの獲得候補に。買取失敗の場合、組み立ての上手い選手の獲得が必須。
Schneiderlinは守備を第一に考える方針もあり、後半はDaviesよりも優先的に起用されていた。しかし、リザーブメンバーとしては給料が高いという噂もあるのでコストカット狙いで放出する可能性も無くはない。
2ボランチの一角、というよりは試合終盤にトップ下としての起用が目立ったDavies。ライバルの去就次第では一気にレギュラーのチャンス。
McCarthyは大怪我からやっと復帰出来たというシーズン。すぐに放出ということは無いだろうが、怪我前と同じように貢献出来るかどうかをアピールしなければならない。
Besicは完全に上位互換ともいえるGueyeの存在でチーム内に居場所が無かったが、昇格プレーオフにギリギリ届かなかったものの7位につけたMiddlesbroughでレギュラーとしてプレー。Middlesbroughの監督だったPulisは解任されてしまったので、買取の可能性は低くなったがチャンピオンシップのチームに放出する可能性はあるか。
守備寄りの選手が多いこのポジション、チームをもう一段階レベルアップさせるにはこのポジションにパサーの補強が必要か。
トップ下(攻撃的ミッドフィールダー)
~Sigurdssonの牙城を崩す若手へのチャンスは与えられるのか~
Gylfi Sigurdsson 41試合14G7A レギュラー
(Nikola Vlasic)
(Kieran Dowell)
(Shani Tarashaj)
なんやかんや言われても残した数字は立派なSigurdsson。今季はSigurdssonしか殆どプレーしていないポジションである。今季のメンバーで2番手を挙げるとすればDaviesだが、ゴール前の迫力では敵わない。
レンタル修行組の活躍が目立つポジションでもあり、VlasicはCSKAMoscowではレギュラーとしてプレー。親クラブでは縁のないCLにもデビュー済み。Evertonでの昨年の扱いが悪かったのを本人も根に持っている様子なので、帰ってくること無く他クラブへステップアップしそうな雰囲気。
Dowellは昨年に引き続き今季もチャンピオンシップで活躍しており、冬に移籍し直したSheffield Unitedではリーグ優勝を経験した。
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— Sheffield United (@SUFC_tweets) April 28, 2019
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両者とも2列目ならどこでもプレー出来る選手で、ベンチにも(それを良しとするかはさておき)置きやすいはず。どちらかを来季トップチームで観ることは出来るだろうか。
Tarashajはレンタル先のレベルがどんどん落ちている上、今季もあまり出場出来ていない。頃合いを見てリリースされるのでは…。
Tarashajの個人的な今季のハイライトはこちら。
本所属チームはダービー中だけど、レンタルでスイスにいるタラシャイはこのタイミングでインスタライブを開始。
— かも・メロ (@ramiro67toff) March 3, 2019
何の配信なんだ…? pic.twitter.com/NGEFLPcb0F
ウイング
~昨季出場機会の少なさを訴える選手が続出したポジションの整理を進める~
Theo Walcott 40試合6G2A レギュラー
Richarlison 38試合14G2A レギュラー
Bernard 36試合2G4A レギュラー
Ademola Lookman 24試合1G2A
(Kevin Mirallas)
(Yannick Bolasie)
(Henry Onyekuru)
センターフォワードとして出場することも多かったRicharlisonの存在で本来2枠のはずのウイングにレギュラー格の選手が3人。
シーズン後半はセンターフォワードに後述するCalvert-Lewinが収まった為、RicharlisonとBernardがファーストチョイスになった。
Richarlisonは21才にして圧倒的な存在。攻撃に厚みをもたらし、守備でもハードワークを怠らない。チーム最優秀若手は100人居たら100人がRicharlisonを挙げるのでは。その存在感からビッククラブの噂もチラホラと耳にするが、かなりの金額を積まれない限り今夏は残留するのでは(前所属のWatfordではかなりの金額を積まれて移籍したが)。
昨季はチーム右サイドをColemanと共に制圧したWalcottも今季は他の選択肢が現れたことで物足りなさを指摘する声もあった。全然ダメという訳では無いので、新たな右ウィングが主戦場の選手の獲得が無ければ残留か。
Bernardは小さなマジシャンとでも言うべき鮮やかプレーでファンを魅了。プレミアでは子どもの様に見えてしまうその体格のディスアドバンテージを感じさせない活躍だった。残留でしょう。
チーム随一のドリブラーLookmanもSilvaにとっては守備面に不安があるとの判断からか、ベンチからのスタートばかり。昨季レンタルしたLeipzigで普通に活躍したようで、レンタル終了後もかなりの引きがあった。本人もレギュラーとしての出場機会を強く求めているので来季も同じような起用法になるのであれば移籍を希望するだろう。
自己中な一面を持つMirallasは昨季出場機会を求めて(クラブ側の編成ミスも一因ではあるが)癇癪を起こし、レンタル移籍へ。功労者ではあるのだが、クラブへの不信感を表立って露わにしてしまった選手が戻ってくることは出来るのだろうか。
変態テクニシャンのBolasieは大怪我で長期離脱してからというもの出番が限られ、今季はレンタルへ。予測不能なフェイントと異常なテンションのInstagramのストーリーは一見の価値ありだが、使いにくい選手ということもありSilva政権が続くなら放出候補。
Onyekuruはイギリスの労働許可が下りていないが故のレンタル。レンタル先のGalatasarayでは43試合16ゴール6アシストとチーム得点王の大活躍。リーグ戦もほぼ手中に収め、カップ戦も優勝を決めている。レンタル組の中ではVlasicと並んでステップアップの可能性の高い選手で、来季も労働許可が下りないと移籍が現実味を帯びてくる。
センターフォワード
~質、量共に不足しているポジション。補強は必須~
Dominic Calvert-Lewin 38試合8G3A レギュラー
Cenk Tosun 29試合4G3A
(Oumar Niasse)
(Sandro Ramírez)
昨季後半の活躍があったものの、今季は序盤から不調に陥りすっかり控えに落ち着いたTosun。
シーズン中盤はRicharlisonが担ったが、Evertonの最も危険なプレーヤーであると他チームにも認識されていたことで、ウイングとしてプレーするよりも厳しいマークに遭う。ロングボールの競り合いも多くかなり消耗が激しそうだった。特にキツめのフィジカルコンタクトがあったBrighton戦以降からはウイングへとポジションを戻した。
その後はフィジカルが強くスピードのあるCalvert-Lewinが起用されるように。昨季はフィジカルモンスターLukakuと同じ役回りをさせられ、ロングボールの雨に食いつき続けた男は今季格段にポストプレーが上達。屈強なCBとのフィジカルバトルにも簡単には負けないようになった。自分がボールを持ったときの選択肢が少ないという課題もあるが、二桁得点まであと一歩の活躍を見せた。
Calvert-Lewinの更なる成長にも期待したいが、EL出場権以上の順位を狙うチームにしてはFWの得点数が少し寂しい。
Niasseは「心技体」の「心」の能力だけは飛び抜けているのだが、あとの二つが追いついてこないプレーヤー。正直プレミアレベルではない。今季もシーズン後半はCardiffへレンタル移籍し、レギュラーとして多くの試合に出場したが無得点。本人の意向で毎年チームに残留しているが、編成目線で考えるなら放出の有力候補である。
Evertonでは良さを出せないままレンタルでたらい回しされているのはSandro Ramírez。レンタル先でも目立った成績を残しておらず、彼を連れてきたフロント、監督のどちらも現在チームにはいない。年齢はまだまだ若いので判断するには時期尚早なのかもしれないが、移籍金を払ってでも獲得したいチームがいれば放出も。
結局補強ポイントはどこ?
・2番手GK
・(Zouma退団の場合)レギュラークラスのCB
・左サイドバックの控え
・プレイメイカーになれるMF
・レギュラークラスのFW
この辺りが緊急性の高いポジションと予想。
フロント的に既に目星は付いているとのことなので、移籍がまとまるのは早いかもしれない。